お見合いNGな男の特徴【女性向け恋愛コーチング22話】
前回のお話:お見合いの成功率を上げる方法(仲人向け)【女性向け恋愛コーチング21話】
お見合い用の部屋に先に一人で入った夢子は、どこかにマイクが隠してあるので確認しようかとも思ったが、まぁ見つかっても取り外す事は出来ないわけだし、別に聞かれて困るような事はないから構わないと思ったが、たぶん結婚相談所の了解なしに連絡先の交換などしないように、集音マイクがどこかにあるに違いないとは思いながら、椅子に座って待つことにした。
3分もしないうちに小さなノックの音が聞こえて、先頭に先ほどの女性結婚相談員で次にお見合い相手の男性が慣れた感じで部屋に入ってきた。
慣れていると感じたのは初めて入る部屋のように、自分が座る場所を確認するような動作は一切なく、分かり切った調子で着席したからだ。
ただ見合い相手が結婚相談所の用意したサクラという雰囲気は一切なくて、もしサクラだったらもう少しイケメンを用意するだろうと思うほど、入ってきた見合い相手の男性は平凡で年相応の良く言えば風格、遠慮なく言えば、くたびれた感じがする男性だった。
男性は目が合うと頭を下げたので夢子も軽く頭を下げた。
結婚相談所の女性が口火を切って話始めた。
「こちらの男性は青山さんといって埼玉県在住のサラリーマンの方、でこちらが夢子さんで今はオーエルとして働いている方です。」
男性は相談員の言葉にうなずくわけでもなくじっと夢子の事を見つめていて、なんだかショーケースの中の玩具を見ているような視線に感じて、まだお見合いは始まったばかりなのに早くも意気消沈してきた。
「青山さんはスポーツが好きで中でもテニスが上手だったんですよね?夢子さんはテニスはやったことが有るかしら?」
このおっさん体型でテニスやれっこ無いだろ!と突っ込みたくなったが、そこはお見合いの席なのでこらえて答えた。
「昔に学校の授業で少しやったことがある位で全然だめですよ。」
そこで急に見合い相手の男が話を始めた。
「こんど私がテニス教えますからぜひ一緒にやりましょうよ。
僕は中学校からテニスを始めて高校では県大会に出場しましたし、大学時代のサークルではキャプテンをやっていたんですよ。
いまは中小企業でサラリーマンをやっていますけど、テニススクールのコーチとしてやらないかって話も昔はもらっていたんですよ。」
話はそれだけで終わらずテニスシューズの手入れの仕方だの、相手の動きを読む方法だとか、こっちが聞いてもいない興味もない事を勝手に話すので、途中で女性相談員が割って入って話を中断してくれた。
こいつ自己中じゃん!と夢子は思った。
空気が読めない男なのは間違いなかった。
これだったら無口な男のほうがよっぽど良いと夢子は思った。
「夢子さんはお料理が得意でしたよね?」
夢子は軽くうなずくとどう返答しようかと一瞬考えた時にすでに男は料理についての薀蓄を語りだしていた。
初体験のお見合いでもあるし別におしゃべり好きという訳でもなかったので、お見合い相手の男性を観察しながら話を聞いていたのだが、何かしら臭気というか息に混ざって不快な臭いを感じ取って、もうこの人は心の中でNGになってしまった。
まぁいくらなんでもお見合いの席なのだから、歯を磨いたり口臭には気を配ってこの場に来ているのだろうと思うのだが、どうも臭いの元は口臭というより体全体から発散する加齢臭か、胃とか体内から出ている男性そのものが持っている消せない体臭なのだろうと確信した。
「じゃ暫くしたら様子を見に来ますからお二人でお話してください、何かありましたら手を二回たたいて呼んでください。」
といって素早く部屋から出て行ってしまったので狭い部屋には夢子とお見合い相手の男性だけの空間になった。
夢子としては結婚を前提になのだから、すなわち同じ屋根の下に暮らすのであって、変な体臭を発散する生き物と同じ建屋の中で、同じ空気は絶対吸いたくないと思ったので、もう相手に対する興味を失っており曖昧な笑顔で黙っていた。
「夢子さんは料理でどんなのが得意なの?」
いきなりタメ口でなれなれしいし、たぶんこんな調子で何度もお見合いに失敗というより、自分からNGを引き寄せまくって、結婚相談所の養分になっているのは間違いないと思ったが、和食が得意とだけ答えておいた。
「和食って具体的に何を作るの?」
お前は取り調べしとんのか!と思わず突っ込みたくなるような質問で、僕も和食が一番好きですくらい言えよと思った。
「カレーライスです。」
夢子の中ではカレーライスは立派な和食なのだが、見合い相手の男性は違っているようで、インド料理についてのレクチャーが始まってしまった。
お前はカレーじゃなくて加齢とか加齢臭のほうが会っていると思ったが、お見合いの席なので、もう面倒なので黙って聞いていることにした。
曖昧な笑みを浮かべながら適当に話を聞く夢子になぜか気を良くした男の話は、カレーの話から子供時代の自慢話に変わっていた。
おおむね1:9の割合でほぼ夢子は聞き役で15分ほど経過した。
ノックの音とともにお茶らしき飲み物が乗ったトレーと一緒に相談員が部屋に戻ってきてこう言った。
「ではいったん男性の方には隣の控室に移動してもらいますね」
お見合い相手の男性は入ってきたときと同様になれた感じで部屋から出ていき、相談員がお茶を勧めながら夢子に対して聞いた。
「感触はどうですか?お互いが希望すればあと15分だけ二人っきりでお話してもらいますし、どちらか一人が希望しなければ今日の第一回のお見合いは終了になります。」
「すいません難しいです。」
自分の自慢話をする加齢臭男はNGだと、はっきり言ったほうが良いのかとも思ったが短く答えておいた。
夢子が過剰反応し過ぎなのかどうか分からなかったが、NG要素丸出しの会員に対してアドバイスしていないのか、アドバイスを聞いていないのか分からなかったが、他の男性会員の質まで気になってきてしまった。
夢子の心を読んだかのように相談員が語り掛けた。
「実は今の男性会員さんね、もう2年もうちで婚活している方でうちでは難しいので退会をご提案しても、全然意に返さない方なんですよ。
人の話を聞かない、すぐにタメ口で話を始めるし他にもいろいろNG要素を持っていて、改善する気がないからうちも諦めているんですよ。
いまごろ隣のお部屋で、貴女の事が気に入って結婚したいって言い出しているに決まっているけど、やっぱりNGという事で・・
ただ勘違いしないでくださいね、今日は初回でお見合いに慣れていないだろうから、いきなり一番いいのを出しちゃうと勿体ないから、ウォーミングアップというか練習したほうが良いって人工知能の作戦でこうしていますからね?
で本日2回目のお見合いまで少し時間が有るから、お見合いのNGつまりやっていけない事について、時間まで聞いてもらいますね。」
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