中距離恋愛のコツ【女性向け恋愛コーチング46話】
前回のお話:恋人に旅先からのプレゼント【女性向け恋愛コーチング45話】
大慌てで作ったサンドイッチはお世辞にも上手に出来たとは言い難い代物であったが、電話口で持っていくと言ってしまった手前、もっていかざるを得なかったのであるが、前もって分かっていれば材料も揃えておくし、そもそもラップに包んだだけみたいな事にならなかったと少しだけ勢いで言ったことを後悔した。
ただ元々料理は得意では無かったので一生懸命作っても、恋人のハートを射止めるほどの出来栄えは期待できなかった訳ではあるが、それでも今日のは渡すのをためらうに近い出来栄えだった。
夢子の住処から東京駅までは約一時間で元も確か大宮在住と言っていたので、やはり東京駅まで約一時間の距離で、たぶん夢子の家から元の家までドアToドアで直行しても2時間以上かかるのだろう。
中距離恋愛
たぶん遠距離恋愛と言うには近すぎる距離であるが、近距離でもないのでまさに中距離恋愛と呼べる距離ではないかと思って、東京駅までの移動時間はスマホで中距離恋愛のコツについて調べてみる事にした。
ただ調べてはみたものの当たり前の事しか書いていなかった。
- コミュニケーションをしっかりとる事
- 遠距離恋愛のつもりで中距離恋愛でもしっかり愛情表現する事
- リアルなデートをルーチンワーク化する事
- 会った時にスキンシップを取る
- 相手の猜疑心を抱かせないように心掛ける事
- 近くにいない事を良いことに不義理をしない
といった内容で夢子が知りたい肝心の中距離恋愛の距離を縮める方法については書いて無くて、基本的に近距離恋愛が始まってから破局に至らないための方法が主な内容だった。
夢子は現時点で元と恋人同士になっているのかすら分からない状態で、これから会うことで一歩でも前に進められればと思いながら電車に揺られていた。
気が付くと電車は東京駅に到着していた。
待ち合わせ場所の銀の鈴はとても混んでいたが、元の事はすぐに見つける事が出来た。
「名古屋からお疲れ様です!」
何故か自然に体が動いてキスしてしまったのは、きっと中距離恋愛のコツを読んだばかりだったので、会った時のスキンシップを思わずやってしまったのだろう。
「熱烈歓迎!有難うございます。
けどいきなりキスするなら前もって歯を3回磨いときますから必ず事前に言ってくださいね!」
笑って別段嫌がっているそぶりも無かったので安心した。
夢子としては自然と体が動いてしまった結果なのだが、ここで一気に2人の距離を縮める事に成功したと確信した。
少しの間あわせた唇を話したとたんに夢子は元に買っておいたプレゼントをまたしても置き忘れてきたことに気が付いた。
「あっ!!!プレゼントまた置いてきちゃった!ゴメンナサイ。
あとこれお昼のお弁当作ってきましたので会社ででも食べてください。」
そういってバックから自分の作ってきたサンドイッチを取り出したのだが、ラップに包んだだけのサンドイッチはとても質素で、渡すのが恥ずかしくなるくらいみすぼらしい感じがして、思わずうつむいて謝っている夢子がいた。
「ごめんなさい、男の人に食べてもらうためのお弁当とか作った事1回も無くて、それで入れ物も包むものも何も用意してなくて、こんなんじゃ会社にもっていってみっともないですよね?」
「女性から手作りのお弁当貰ったのはお母さん以外ではこれが初めてです、ありがたく頂戴して会社でお昼にゆっくり食べさせてもらいます。
それとこれ名古屋駅で買ったお土産です。」
夢子は頭を下げてプレゼントを受け取ると、次に会う約束をしておかないとと考えた。
「あの私とまたデートしてくれますか?」
「私で良ければ喜んで!
少しだけ時間がありますから次の行動をいま決めて今日はお別れにしましょうか?」
「よければ会社まで一緒に行きますので、移動しながらお話しませんか?」
という事で元が会社に着くまで短い時間であるがデートする事になった。
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